認知症は「できていたことができなくなる」「覚えられていたことが覚えられなくなる」病気です。様々な理由(多くは加齢)によって脳細胞がダメージを受けてしまい、生活に支障が出てしまう状態と定義されます。
認知症とは
認知症の患者数
認知症の患者様は65歳以上で約450万人、軽度認知障害(MCIといいます)の患者様が約400万人(2012年の厚生労働省データ)に上り、実質65歳以上の25%が認知症もしくは認知症予備軍です。
認知症の種類
認知症はいくつかのタイプに分かれます。
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アルツハイマー型認知症
全認知症のうちで最も多く、約60%を占めます。脳の中にアミロイドβ蛋白という異常なたんぱく質が蓄積され、脳の神経細胞にダメージを与えることで発症します。脳全体が萎縮していき身体機能も徐々に失われます。女性に多いことも特徴です。
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脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症に次いで多いタイプで、脳梗塞や脳出血を契機に発症します。血管の損傷によってダメージを受けた脳の場所によって症状が異なります。アルツハイマー型認知症とは合併することがあります。(混合型認知症)
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レヴィ小体型認知症
脳内にレヴィ小体という特殊なたんぱく質が蓄積し神経細胞にダメージを与えます。認知症では物忘れが主体となることが多いですが、このタイプの認知症では幻視(鮮明な幻が見える)やうつ、パーキンソン症状(手足がこわばる、震える)などの症状が前景に出ることがあります。
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前頭側頭型認知症
前頭側頭葉変性症(FTLD)の一つで、若い方でも発症する可能性のある認知症です。前頭葉と側頭葉を中心に脳の萎縮が起こり、理性的な考えが障害されてしまい万引きや痴漢、信号無視を罪悪感なく行います。同じ言葉や行動を何度も繰り返したり、極端に甘いものや辛い食べ物を好むようにもなります。
周辺症状について
認知症は物忘れ(中核症状)の他に周辺症状が出現することがあります。
- うつ症状→元気が出ない、意欲がなくなる
- 物取られ妄想→「財布や通帳を盗られた」と訴える
- 易怒性→急に怒りっぽくなった、大声で怒鳴るようになった
- 幻覚→「2階に人が住んでいる」「子供が家の中を駆け回る」と話す
- 徘徊→玄関から飛び出して行方知れずになる
こうした症状は早期に治療することが介護される方の負担を減らすためにも大切です。
当院での認知症治療
- 薬物療法
- アルツハイマー型認知症に関しては有効な治療薬があります。完全に治すことができるわけではありませんが、進行を遅らせ、なるべく長く「現在の状態を保つ」ことが治療の目的になります。幻覚や妄想、うつ状態などの周辺症状に対しては別のタイプの治療薬を使用することがあります。
- リハビリテーション
- 認知症の治療にはリハビリテーションが不可欠です。「体を動かす」「ものを考える」ことで今ある機能を保つことが可能となります。現在では作業療法、音楽療法、回想法、アニマルセラピーなど様々なリハビリテーションがあります。デイサービスなどの施設で行うことが一般的ですが、当院では平成30年4月開設予定のデイケア施設にてそれらのリハビリテーションを実施していく予定です。
予防が大切
アルツハイマー型認知症では発症までに20年間の猶予期間があると言われています。
その20年間にどれだけ発症しないよう自らの生活を改めるかが大切です。
- 生活習慣病にならない(脳の血管にダメージを与えてしまいます)
- 歯を大切にする、自分の歯を少しでも多く残す(噛むことは脳に刺激を与えます)
- 日常的に運動を行う(有酸素運動は脳血流を改善します)
- 筋トレも効果的(脳が筋肉を動かすからです)
当院ではMCI(軽度認知障害)スクリーニング検査が可能です。
血液検査のみの簡便な検査ですので、認知症が気になる方は是非ご相談ください。
※自費診療になります。